回りきれない!(画像多)

いよいよフィレンツェ。
時間はたっぷり、6泊7日だ。
これだけあれば飽きるくらい見て回ることができるだろう。

しかし。

1日目(金)

ベネチアからの移動日。
途中フェラーラ、ボローニャに寄り道したので、
フィレンツェに着いたのは夜中。
当然何もしない。

2日目(土)

ホテルから沿道の店をのぞきながら散策。
途中おみやげ屋さんに引っかかり、
お子様たちがおなかがすいたと言うので昼食。
昼過ぎにウフィツィ美術館に着いたときは長蛇の列だった。
(午後に着くこと自体、すでに計画ミス)
待ち時間90分と聞いて今日はあきらめる。
次の日の予約を取った。
そこから隣のシニョリーア広場に行く。
ダビデ像始め、有名な彫刻てんこもり広場。
でもほとんどがレプリカ。



広場に面したカフェでお茶してたら夜になってしまった。
目の前のヴェッキオ宮殿に行く。



実は全然行く予定なんかなかったんだけど、
今日はまだ何にも見てないことに焦って、
たまたまここは7時半頃まで開いているのが分かったので、
とりあえず行ってみた、というのが正直なところ。
でも、予想外によかった。
入ってすぐの柱の彫刻や天井の唐草模様っぽい模様が素敵。



500人の大広間。
広さはもちろん、壁と天井一面の装飾画に圧倒。



昼間はどうか知らないが、混んでいないのでお勧めの場所。

それにしても、予定が全然消化できていない。
このままだと何も見ないうちにフィレンツェ滞在が終わってしまう。
ここに来てようやく対策を練る。
明日はウフィツィに行く前にアカデミア美術館でダビデ像を見て、
夕方はパラティーナ美術館に行くという無謀な計画を立てる。
一月一日はどこも開いていないだろうから、
近郊の町、サンジミニャーノに行ってみよう。
残る二日間をドゥオモ近辺を見る日、
メディチ家ものを見る日に割り当てた。

3日目(日)

我が家にしてはがんばって早起きしてアカデミア美術館へ。
朝だというのに少し並んでいたが、すぐ入れた。
入ってすぐは人物画。
ダビデ像くらいしか見るものはないのかと思っていたが、けっこういいぞ。
ゆりちゃんは見入っている。
しかしウフィツィの予約時間が迫っているので、次の間に行く。
ミケランジェロの未完様式の彫刻群があって、その奥がダビデ像。
大きいのだ。
ゆりちゃんは彫刻には余り興味がないらしく、
横にひっそりと飾ってあったダビデ像の構想段階のデッサンなんか見てる。
ダビデ像の隣にはあるテーマ(レダと白鳥)で描かれた
複数の作者の絵が飾ってあって、興味深かった。
とそこで、馨のバカ野郎が
仮設階段の隙間にミニカーを落とす。
それを取るのに苦心しているうちに時間は過ぎていく。
ああ、時間切れだ。アカデミアおしまい。
出口に向かう部屋には私の好きそうな宗教画が。
ゆっくり見たいが、時間がない。
駆け足で見る。

アカデミア美術館の隣はサンマルコ美術館。
フラ・アンジェリコの「受胎告知」があるところ。
ああ、ここも見たいのに~。
午前中しかやっていないのよ~。
来ることができるかしら~。
と後ろ髪引かれながらウフィツィに向かう。

さて、ウフィツィ。



予約しておいたからすんなり入れる。
今日は昨日にもまして列が長く、
2時間待っても入れなさそうだ。
入るのはベビーカーのままでもOK。エレベーターあり。
ウフィツィ美術館はワンフロアなので、中での上下移動はないが、
コの字型になっており、歩く距離は結構長い。
ここはまさに名画の山。
教科書で一度は見たことあるようなのがざっくざく。
有名な絵画だけがいい絵か、といえば必ずしもそうではないけれど、
その作者の絵を知るきっかけにはなる。
ほぼ年代順に並べられた部屋を順番に見て回る。
お子様はすぐに飽き始めたが、最初は宗教画。
同じモチーフが何度も出てくる。
これを逆手に取り、ある絵で何が書かれているか説明し、
同じテーマで別の作者の絵が出てきたら、モチーフ探しなどをさせる。
何度もやっているうちにだいぶ覚えてきたようだ。
なにしろ「最後の晩餐」を見ているから、
イエス・キリストが出てきたら「ごはんを食べてる絵の人」で通じる。
あとは事前に見せておいた本に出ていた絵を探させる。
ボッティチェッリもミケランジェロもダ・ヴィンチもこれでOK。
馨はボッティチェッリが気に入ったのだそうだ。
私はずっとあこがれていたボッティチェッリを見ることができて満足。
ラファエロも見られてよかったが、
今回気に入ったのはフィリッポ・リッピ。
ウフィツィは意外と宗教画の比率が高いのだ。
彼の絵は美術館ばかりでなく、教会でもお目にかかれた。

展示室は長い廊下に面してあり、
時には二、三の部屋が続いていることもあるが、
たいてい一つの部屋を見ると廊下に出る。
廊下にも無数の彫刻、肖像画が飾ってある。
カトリーヌ・ド・メディチの肖像画もあった。
絵を見て彫刻を見て室内装飾を見て…
ウフィツィには見なければいけないものがたくさんある。

見終わったらすでに夕方、
予定していたパラティーナには間に合いそうもない。
ドゥオモの周りを歩いてみる。
中に入ってみようか?と思ったが、時間切れ。
まあ一応予定は消化したし、いいか。

4日目(月)

ホテル近くにミケランジェロ広場というのがあるらしい。
ドライブがてら言ってみる。
ドライブというほどのものではなく、あっというまに着く。
フィレンツェの町が一望できる丘で、
実はけっこう有名らしかった。
駐車場の真ん中には青銅のダビデ像。

「あびる」by馨


そして一番見晴らしのいい展望台前の広場で
写真撮影に明け暮れるウェディングドレスのアジア人…。
花嫁だけで三人はいる。
広場の人だかりも景色を見ているのか、
このちょっと異様なさまを見ているのかわからない。
まさか日本人?と思ったら、どうやら中国人。
他の観光客も展望台まで来てはみるものの、
ちょっと結婚写真の邪魔はしたくないので遠巻きに見る。
ようやく終わって去っていったので、
待っていた人たちがわらわらと寄ってきた。



昼食後、サンロレンツォ教会へ。



教会のファサードは未完ということで、ものたりない。
とても教会には見えない。
中は壁にいくつも絵が掲げられていて華やか。
祭壇左奥にフィリッポ・リッピの「受胎告知」を発見。



ようやくフィレンツェの華、ドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ教会)にやってきた。



列ができている。
教会に入るのに並んだのは初めてだ。
外から見たとおり、中もどどーんと広い。
そしてほとんど何もないのでがらーんとしている。
そこに人がいっぱいつまっている。

床のモザイク、素敵だった。


奥のクーポラ(丸くなっている部分)を見に行く。
内側に絵が描かれているのだ。
あまりに大きくて遠くて、カメラの望遠を使わないとなんだかよく分からない。



ドゥオモの地下にある教会跡を見にいく。
パリのノートルダム寺院の地下にも同じような遺跡があるが、
こちらは当時のモザイクなどもけっこう鮮明に残っている。
あとお墓?とおぼしき四角い石とか…。

横の出口から外に出ると、すぐジョットの鐘楼。
(上、教会の右に建ってる塔)
登ってみようかと中に入りかけたが、
なんと階段、しかも有料ときたので、やめる。
続いてドゥオモ裏のサンジョバンニ洗礼堂。
一足踏み入れて息をのむ。
天井が一面金ピカのモザイク。
旧約聖書の話を描いているようだ。
みんな座り込んで呆然と見入る。
絵を一つ一つ追っていくだけでもけっこう面白い。

ドゥオモのと比べてみよう。


さて、ドゥオモ博物館に行く。
ドゥオモを飾っていた彫刻などが収められている。
普段、私はこういう教会の付属博物館には行かないのだが、
今回はダンナたっての希望。
ミケランジェロの「ピエタ」があるのだ。



思ったとおり人は少ないが、素晴らしい彫刻を間近で見れる。
ドゥオモのファサードを一般公募したらしく、
そのときの応募作品の模型も残っている。
私はここで光におっぱいをあげたりオムツを替えたりと
けっこう忙しかったので、じっくり見れなかったのが残念。 

5日目(火)

メディチ家回りをする日。
まずメディチリッカルディ宮。
メディチ家の住んでいた家、なんだよな(よくわかってない)。
見た目立派だが、派手ではない。
入り口もごく普通のドア(といってもどでかいが)なので、
どこから入ればいいのかちょっと迷った。
でも中庭はいかにもお金持ちの邸宅、といった装いで凝った作り。



中は装飾も絵もたくさんあって、
やっぱり普通の家じゃない。
家の中に礼拝堂があるのが大富豪の証か。
これまた壁一面が絵。

メディチ家礼拝堂。
昨日行ったサンロレンツォ教会の一部という形なのだが、
行き来はできず、別の入り口から入る。
入った一階部分はわりとシンプルで、
床にはそこかしこに墓碑。
いくつかの聖具が飾ってあるってくらいで、
本当にメディチ家のもの?と思うくらいそっけないのだが、
二階に上がって度肝を抜かれる。
吹き抜けの礼拝堂。
明かり採りの窓から入る光のみに映し出される
歴代君主の立派なお墓。
決して金ピカ派手派手ではないのだが、
手がかかっているのだけはよく分かる。
メディチ家って本当に大富豪だったんだ。
お金をかけるところが普通の人と違うよ。としみじみ思った。
そして、初めて神聖な気持ちになった。
もうひとつ、ミケランジェロの彫刻で飾られたお墓が
別室にあるのだが、
私はこの礼拝堂の方が好きだった。
許されるならば、ずっとここにいたいと思った。
写真に残せないのが残念(撮影禁止なのだ)。
でも写真じゃ絶対伝わらない。

ダンナがもう一度サンロレンツォ教会に行きたいと言うので行く。
気になった彫刻があったというのだ。
彼はフィレンツェに来てからすっかり彫刻に魅せられ、
中でもドナテッロがお気に入りのようだ。
その気になる彫刻ももしかしたらドナテッロかも?ということで再訪したが、
残念ながら作者名分からず。



この日はまだ時間があったので、
よーし、パラティーナ美術館に行くか!と向かう。
時はまだ6時。
7時までやってるはずだ!



ところが大晦日だったこの日、
着いたらもうお客を締め出している。
これは残念、新年はいつからやってるの?なんて聞いて帰りかけたら、
「トイレ」
ゆりちゃんを連れて再度中へ。
「トイレだけ貸してください」と頼むも
「今日はもうおしまいよ~。はい出て出て~」と非情なおじさん。
「お願い、トイレを使わせて」
「美術館の向かいにカフェがあるだろ~。
そこで借りなよ」
「子供は待てないでしょ!!
お願いだから貸して!!!」
彼はイタリア語と片言の英語。
私は最初英語だったが、
通じないのが分かるとフランス語に切り替えた。
ひどい会話だ。
そこに別の係員が来て、
彼の裁量で無事借りることができた。
(なんのことはない、彼はフランス語が通じたのだ)
美術館前の広場にはステージが設置されていて、
年が明けた瞬間コンサートをやっていたらしい。

6日目(水)

サンジミニャーノ

7日目(木)

本当はジェノバへの移動日だから、
途中の町に寄ることは予定していたが、
予定を消化しきれず、パラティーナ美術館へ。
パラティーナ美術館のあるピッティ宮殿はホテルのすぐそば。
しかし入り口は建物中央なのに、チケット売り場は建物のはじっこ。
ピッティ宮殿には美術館がいくつもあるのだが、
どのチケットもこの同じ窓口で売っている。
多分パラティーナに行く人が一番多いと思うけど、
なんだか非効率。
…なんて、イタリアに効率を求めてはいけなかった。
ちなみにここにあるボボリ庭園も有料。

ようやくチケットを手に入れてパラティーナ美術館に向かう。
入り口にいた係員のおばちゃん(複数)がなんか言ってる。
「まあ~かわいい~!!!
ベビーカーなんだからエレベーター使いなさい、ね、ほらほら」
って感じで、目立たないところにあったエレベーターを使わせてくれる。
ラッキー。

ウフィツィと同じくワンフロアの展示。
入ったら「こちらへ」と誘導されたところは
確かに悪くないが、そんなに面白くない絵の数々。
いったいこれ何?と思ったら、
ラファエロなどの弟子をした人の企画展だったらしい。
まずはメインを見なければと早々に飛ばす。
このピッティ宮殿も誰かのお屋敷だったんだよなあ。
こんな家に住んでいた人っていったいどんな人?
などと思いながら歩く。
窓からボボリ庭園が見える。
けっこうよさげだ!
あ~、時間があったら見たかったよ~。



さて絵画始まり。
あまり空間もなくぎっちり飾られている。
見栄えを考えたら、ある程度間を置いたり、
順序を考えて並べた方が効果的なんだろうけど、
私はこうやって当時のまま飾ってあるのが好きだ。
なんだかいかにも普通のおじさんが住んでいたって感じがして、
妙に親近感を感じるじゃないですか。
ここはおお~とうなるような名画も
「あれ?」と首をかしげたくなるような迷画(?)もいっしょくた。
でも持ち主が好きならいいのだ。
ラファエロを集めていたのだから、
決して趣味が悪いわけではない。
ゆりちゃんはラファエロとティツィアーノが気に入ったのだそうだ。


結局回りきれなかったのが、
・サンマルコ美術館
・国立バルジェッロ博物館
(彫刻に目覚めたダンナが行きたがった)
・サンタクローチェ教会
・サンタマリアノッヴェーラ教会↓

前を通ったから写真だけ撮った。


また、見学に忙殺され、
フィレンツェの町をぶらぶら気の向くままに歩く、というような
散策はほとんどできなかった。
いっぺん見たところでももう一度行きたいところがあるし、
フィレンツェ、奥が深い!