図書館につきそい

幼稚園では時々園外活動のときに親の付き添いを求められる。
親全員が付いてくる必要はなく、そのとき時間のある人だけ。
付き添いの親が足りないと外出中止になったりする。
先生一人では面倒を見切れないからだろう。
でも下の子連れではできない。
というわけで、私は今まで付き添いに参加したことがなかった。
しかし、帰国も迫り、一度くらい付き添いに行ってみたいなと思ったので、
馨のクラスが図書館への付き添いを募集したときに
ナタリーに光を預けて参加してみることにしたのだ。

午後一番のお出かけだというので、
昼休みが終わる頃に行ってみる。
朝聞いたときは教室に行って待っててくれと言われたが、
ついて今一度聞いてみると、
「ここ(入り口を入ってすぐのホール)で待っててくれ」と言う。
あああ、フランス式いい加減さ。
他にも数人のお母さんがいたので、
おそらく図書館付き添い組だと思われた。
そのうち昼休みが終わり、
園庭で遊んでいた子供たちが先生に連れられてホールに入ってくる。

「二人ずつ手をつないで並びなさ~い!」と並ばされる。
なかなか並べない。
どうにか形になったところで先生は人数を数える。
「31…あら、足りないわ。
○○かしら…いや、あの子はお母さんが迎えに来て帰ったんだったわ。
じゃあ△△かしら…いやいや、違うわ。
もう一度数えよう…2,4,6…31。
うん、これでOK、全員いるわ」
おいおい、大丈夫か?
子供たちは前回図書館で借りた本を一人一冊ずつ持って出発。
列の周りに適宜お母さんたちがつく。

幼稚園を出て10メートル、すでに列は伸びきっている。
横断歩道が渡れない。
後ろからせかして列を前に急がせる。
馨は私と一緒に歩きたがったが、
なんでかお母さんたちは後ろにたまりがち。
前半分を先生一人で、後ろ半分をお母さんたち5人で
見るような格好になってしまったので、
馨には申し訳ないが私は前のほうに移動。
おしゃべりな女の子二人と一緒に歩く。
まあおしゃべりなのはその子達に限らず、全員。
かしましいのなんのって。
住宅地の中を歩いていくので、たびたび先生に注意される。

注意されても列はのびのび、おしゃべりしまくりで
いつも穏健な先生もたびたび怒る。
保育園の横を通るときは
「今赤ちゃんたちは寝ている時間よ。
静かに歩くのよ」と言われるも、
「ねえ、保育園で赤ちゃんが寝てるのよ!
静かにするのよ!」とおせっかい焼きの誰かが言うので、
やっぱりうるさい。
本当に図書館に着くのか?

大きな通りを渡るときは警察官が見張りに立ってくれた。
外出のスケジュールを知ってのことか、
警察署の近くだったのでたまたま偶然か、よくわからない。
そうしたら一緒に歩いていた女の子が
「あそこにいたの、私のママなの」
へえ、そうなんだ。
「でも今は手をつないでいるこの人(=私のこと)がママなの」
く~っ、かわいいこと言うじゃないの。

どうにか図書館に着く。
子供の本コーナーに入るとすぐに横の部屋へ。
ここで図書館の人が本を読んでくれるのだ。
たまたま知ってる本が続いたので私も楽しめた。
一冊目は「大きなかぶ」。
繰り返しが多いので、みんなだんだん覚えて一緒に言える。
二冊目は
「むかーしむかし、あるところにババジという男の子がいました。
パパの名前はパパジ、ママの名前はママジ」と始まると
誰かがすかさず
「じゃあこの子の家の苗字は『ジ』だね!!」
と叫ぶ。
冴えてるね~。
知らない話かと思っていたが、
赤や青や紫の服を着て出かけた先で虎に会って
服をあげてしまう、という展開に
ん?どこかで聞いたような?
そして最後は虎は木の周りをぐるぐる回ってバターになってしまう。
んんん?さては?
最後にホットケーキを作って食べてしまうのでは?
と思っていたが、ここはフランス、
ホットケーキではなくてクレープを作りましたとさ。
「ちびくろサンボ」だったのです。
わ~おもしろいな~、とここで精魂使い果たし、
三冊目の本はなんだかよく理解できませんでした。
ははっ、恥ずかし。

そのあとは各自好きな本を選んで借りる。
図書館にいるのは正味一時間くらいか?
スケジュールが立て込んでいるらしく、
次のクラスが来るからとあわただしく本を選ぶ。
選ぶと貸し出し窓口に持っていくのだが、先生のチェックが入る。
「これはもう借りたわ」
そして本を持って再び幼稚園へ。
行きと全く同じことを繰り返す。
列はのびのび、かしましい31人。
先生はあんまり言うことを聞かない子に
「これじゃ次回は連れてこないわよ!!」
あああ~幼稚園の先生は大変だ。

どうにか幼稚園にたどり着く。
子供たちが園内に入るのを確認してお母さんたちも解散。
他のクラスの先生に「ありがとう」とお礼を言われる。
いやいや、私たちは何にもしていないんですが。
とにかく先生、いつもご苦労様です。