さよなら、ちぼー

ある日馨を幼稚園に連れて行ったら、
コート掛けを指さして「ちぼー、ここなの。ちぼー、いないの」と言う。
(ちぼーとは、馨の一番の仲良し。「まかま」を参照のこと)
コート掛けには子供が自分の名前を読めなくても大丈夫なように
写真が貼ってあるのだが、
ちぼーの写真も名前も取り外されている。
一体どういうこと?
取り乱した私は担任のジャバに「ちぼーはどうしたんですか?」と聞いてみた。
なんと引っ越したのだと言う…。
一番の仲良しだったちぼーがいなくなったなんて、
自分のことじゃないのに涙が出た。

しかしそんなある日突然いなくなるもんだろうか?
普通は前の日とかにみんなの前でさよならくらい言うよなあ。
前日は昼で帰ったという証言をなぜかゆりちゃんから得たが、
肝心のところがよく分からない。
もう一度馨によく聞いてみたら、
どうやら前の日にお別れの挨拶をしたらしい。
もしかしたら馨ともバイバイのキスをしてるかもしれない。
そう思うとちょっとほっとした。
馨は「ちぼー、どうしていないの?」「ちぼーがいなくて寂しい」
などと言っているので、
もう幼稚園に行かないと言い出すかと思ったが、
意外とあっけらかんとしている。
3歳なんて、そんなもんか…。

何日かして「今日は誰と遊んだの?」と聞いたら、
「たんぴんといねっとと小さいじゅりあん」という答えが返ってきた。
馨はちぼーを失った悲しみを乗り越えて、
新たな友達を開拓しているのだ…。
っつうか、頭の切り替えが早いな~、まったく!
やっぱり3歳なんて、そんなもんか…。