入学申し込み

ある日幼稚園に送っていった帰り、ふと見ると、
隣の小学校(ゆりちゃんが行くところ)の
入学申し込みの貼り紙がある!
思わず立ち止まったが、ぱっと見て分かるほど甘くない。
こんなのきちんとプリントにして配ってくれよ、と思いつつ、
夕方再チャレンジ。
どうやら、例の入学通知書を持っていくらしい。
受付の日は二日間。
これを見逃していたらどうなったことか…
想像すると背筋がぞっとする。
全員が隣の小学校に行かないにしても、
もうちょっと連絡のやりようがあるんじゃないの?

受付日は一日が木曜午後(フランス語のある日だ!)、
もう一日が土曜午前(幼稚園の展覧会の日だ!)。
どうしてこんな日にやるのだろうと思いつつ、
多分土曜午前は混むだろうと思い、
木曜日、フランス語を少し早めに切り上げて駆けつける。

まずは入り口探しから。
日本のように校庭の門から堂々となんて入れない。
固く閉ざされているからだ。
そこは送迎時間しか開かない門なのだ。
その辺をうろうろしていると、
門の横の掲示板に受付の貼り紙があった。
入り口は校舎横か!と走る。
そこでまたうろうろ。
すると同じようにうろうろしている人がいるではないか!
「あなたも申し込み?」ってな感じで首尾よく中に入れる。
入るとすぐ校長室だ。
一緒になった人がドアをたたくが応答なし。
あれ?困ったなあ?と思っていると、
さらに一人親御さんがやってくる。
みんなで困っていると、そこを通りかかった先生、
「申し込みですか~?向こうの図書室でやってますよお」
だったらそうと張り紙しておけよ!
と私は内心思ったが、
みんな淡々と図書室に向かう。
意外にも一度ここの保健室に来たことのある私が
一番内部に詳しく、
他二人を図書室に誘導してあげたのだった。

図書室では先に来ていたお母さんたち10人ほどが
質問の嵐を繰り広げていた。
入学通知書を出して終わり、じゃないのね…。
戸惑いながら椅子に座る。

先のお母さんたちは気が済んだのか、次の人が来たからか
引き上げていった。
受付時間は14~17時となっていたが、
こうやって適宜人が集まるたびに説明を開始しているらしい。
いいかげんだ!
私が聞いた回は私を含めて4人と少人数だった。
最初一般的な説明があった。

・初日は9時始まり(普段は8時半)、教科書やらたくさん配る
・持ち物リストを配布する(入学前?後?)
・給食は市役所へ申し込み
・エチュード…放課後、学校で勉強を見てくれるサービス、18時まで
申し込みは学校でする
・クラスは6クラスある

しゃべった先生が早口で、ここまで理解するのがやっと。
他にも話していることがあったが、
そんな重要なことは聞き逃していないだろう(と思いたい)。

さてここまで話したところで、その先生が私のほうを向き、
「今までの説明がわかったか?」
「入学する子供はフランス語が分かるのか?」
という話になった。
私は「言われることは理解できるが、あまりしゃべらない」
と現状を話した。
すると先生はゆりちゃんのフランス語対策として、
・フランスの友達とたくさん遊ばせること
・フランス語のテレビ、ビデオをたくさん見ること
・家では日本語でもかまわない
・仲のいい子がいるのなら、同じクラスになるようにする
→その方がしゃべるきっかけがつかみやすいだろう
・エチュードを受けたほうがよい
などと話してくれた。
「仲のいい子」はいるか?と言われたので、
もーふぃーぬの名前を挙げておいた。
また、夏休みは日本に帰るのか?と聞かれたので、
7月中は週3回のcentre de loisirs、
8月はバカンスに行くけど、日本には帰らないと話したら、
帰省しないのなら大丈夫よ、なんて言われた。

どれも特別なことではなく、
普段からやっているようなこと。
私は常々、幼稚園の間は勉強という形で
フランス語を覚えるよりも、まずなじむ方が重要かと
思っていたので、ちょっとほっとした。
それと同時に、これだけ具体的な案を出してくれる
小学校に好感も持てた。
幼稚園ではいつもいつも「しゃべらない」の一点張りで、
それに対してどうフォローしていくかの提案はまるでなかった。
親だけが悪いのかと面談のたびに自己嫌悪に陥っていたものだった。
ここまでの話、ほとんど先生と私の一対一、
個人面談じゃないのにごめんね、他のママたち。

その後、校長先生と一度面談をしたい旨お願いし、
その場で予約をしてもらった。
一緒にいたもう一人の先生がなんと校長先生だった。
校長先生は英語がしゃべれないので、
当日は英語のしゃべれる先生を同席してくれるということだった。

こんなに長くしゃべってしまったので、当然の結末なのだが、
幼稚園のお迎えに遅れた。
15分遅れならぎりぎりかと思ったがダメで、
幼稚園の玄関で先生と待ちながら
ナタリーの長女に慰められながら
泣きじゃくるゆりちゃんがいた。
馨は平気だった。
ごめんね。