ベビーシッター

フランス語学校に行くためにギャルドリー(託児所)の申し込みをしたが、
混んでて11月中旬からしか行けない。
しかも最初の2週間は慣らし保育だという。
これじゃあ12月からしか預けられない。
フランス語学校は10月から始まるので、
10、11月の2ヶ月間はベビーシッターを探さなければならない。

まずお決まりの日本人向けアノンスで探してみた。
片っ端から電話してみるが、
「パリ市外には行きません」
お決まりの一言。

次に地域情報誌を探す。
たくさん出ているが、フランス語で電話をかけなければならない。
電話をかける前に話すことを作文しなければならない。
しかもかけたところでどんな人かわからないし、
どうやって見分けたらいいのかも分からない。
どうしようか?

市のガイドをめくっていたら、
PMI(保健所)で臨時の託児についてどうのこうの、と書いてあるくだりを発見。
何か情報があるかもと行ってみる。
つたないフランス語を一生懸命聞いてくれた窓口の人は
ヌリス(保育ママ)のリストをくれた。
電話してみなさいと言う。
電話はすごく難しいと言うと、
しゃべれるお友達はいる?その人にかけてもらいなさい、とのこと。
マリーナが頭に浮かんだが、
働いているのでいつでもつかまるわけではない。
考えている時間も惜しいので、
リストを見て近そうな人に電話をかけてみる。
幸い親切な人でイヤな顔(声?)せずに聞いてくれたが、
週4日朝から晩までという形でしか預かれない、と言われた。
うちは週二日、半日ずつでよかったのだ。
変則的な形で預かると、
他の子供が預かりにくくなるからだろう。
一時的な託児をするのではなく、
長期間決まった時間を預かる場合がほとんどのようだ。

次なる頼りはそのマリーナ。
ベビーシッターを探してるけど見つからないと相談したら、
あてを探してみると言う。
一週間くらい返事がなかったので、
期間が中途半端なので難しいかな、
勇気を出してフランス人に電話してみるか、と思っていたら。

見つけたという。
しかもうちと同じ通りに住んでるママ。
紹介されて会ってみたら、
幼稚園の送迎でよく会うマダム・カルミだった。
彼女なら顔もよく知ってるし、家も近いし申し分ない。
詳細をマダム・カルミと話し合う。
よく聞くと、マダム・カルミは仕事としてベビーシッターをしていた。
その分週に何時間預けるか、一時間いくらにするかは
ご主人も出てきてけっこうシビアに計算していたけど、
経験がある以上しょうがないかと思った。
一回3時間、一時間50フラン。
マダム・カルミの家で見てもらう。

初めて預けたときは3時間泣きっぱなしだったらんちゃん、
いきなりママと離れてショックだったのかと思ったが、
二度目はすぐ泣き止んでずっと遊んでいたと言う。

ところが、マダム・カルミが週二日のうちの一日の都合が悪くなった。
別のベビーシッターを探さなければならない。
一日をマダム・カルミ、もう一日を別のベビーシッター、
という手も考えたが、
泣いてばかりのらんちゃんには、
同じ人のほうがいいのでは?という意見になった。
もちろんうまく見つからなければ、
一日だけ別の人にお願いしなければならないけれど。
でもマダム・カルミは別のベビーシッターの仕事もあるので、
らんちゃんを預けるのはちょっと心苦しくもあった。
マダム・カルミも一度は引き受けたのにできなくなったことを気にして、
「もし新しい人が見つからなければ、友人を紹介するよ」と言ってくれた。

これまたマリーナがあてを探してくれたが、
今度はうまく見つからなかった。
市にベビーシッター斡旋事務所があるようなのだが、
あいにく時間外で閉まっている。
時は木曜日で、週明けにはまた授業がある。
ぐずぐずしていられない。
そこでマリーナが子供たちを見てくれて、
その間にマリーナのご主人クリストファーと一緒に
町じゅうを歩き回り、
パン屋や薬局に貼ってあるアノンス探しをした。
ベビーシッターやります、売ります買いますなど、
けっこういろいろなところに貼ってあるのだ。
2時間くらいかけて7件見つけて帰る。
続けて今度は電話。
クリストファーがかけてくれる。
話した感じで「この人はダメ」「この人はよさそう」と判断してくれる。

その中で出会ったのがマダム・パンション。
ゆりちゃんたちが通っている幼稚園近くに住んでいて、
自分の子供も同じ幼稚園に通っている。
聞くところによると看護婦か幼稚園の先生の経験があるようだ。
さっそく面談の日取りを決める。

次の日クリストファーとともにマダム・パンションを訪ねる。
彼女はプロのベビーシッターで、
料金体系もきっちり紙に出していた。
(時々上司と面談があると言っていたので、
何かしら組織に属しているらしい)
収入が一定金額内なら、
あとでベビーシッター代の一部が返ってくるらしい。
預ける日数も月何日と決められてあって、
らんちゃんの場合は本当は月8回でよいのだけど、
最低でも月10回(一回4時間)から。
月10回で約2000フラン。
高いような気がしたが、
一回当たり4時間で200フランなので、
一時間50フランになり、マダム・カルミと変わらない。
授業以外の日に預けたときは
買い物するなり出かけるなり、
自分の時間に使えばいいじゃないと言うクリストファー。
それもいいかもしれない。
お願いすることにした。

ベビーシッティングはマダム・パンションの家で。
初めて預けた日はやっぱり泣いた。
「これが普通よ。気にしないで」と言ってくれる。
でも今回はマダム・カルミのところで少し慣れたのか、
2分で泣き止んだとのこと。
昼寝もしたし、昼ご飯もたくさん食べているらしい。
すごくいい子だったと言われる。
でも迎えに行くと泣く。
ギャルドリーが始まるまでの限定ベビーシッターだけど、
これでおしまいにするのはちょっともったいないくらいだ。

その後

ギャルドリーでも書いたとおり、
思惑通りに託児時間が取れないので、
引き続きナタリー(=マダム・パンション)にベビーシッターを
お願いしています。
フランス語学校が6月で終わるので、
その後はどうするか分かりませんが、
それまではナタリーのお世話になることでしょう。
すっかりナタリーになついたらんちゃんは、
最近では迎えに行くと帰らないと言って首を横にふるまでになりました。
ナタリーもよく食べよく寝てよく遊ぶらんちゃんを
とてもかわいがってくれて、
いつでも預けてねと言ってくれています。(12/12/2001)