郵便配達の怪

郵便局はしょっちゅう足を運ぶ場所。
手紙一つ出すにも切手代がよくわからないこともあって、
いちいち窓口まで出しに行っていた。
フランスの郵便局はいつもたいてい長蛇の列。
しかも一人一人の所要時間が長い。
それをみんな気にするふうでもなく我慢強く並んでいる。
そのうち前後に並んだ知らない人とも世間話したりして。
私も知らないおじさんに英語でよく話しかけられたりした。

フランスの郵便局の面白い点は

・窓口が完全にガラス(またはプラスチック?)でカバーされている

防犯上の問題なのだと思うが、もっと防犯してもよさそうな銀行は、
窓口にこんなカバーはない。
日本と同じようなあけっぴろげなハイカウンター。
郵便局の方が狙われると困るものがあるんだろうか。
手紙のような薄いものですら狭い隙間からのやり取り。
小包の類は回転式の荷物受け渡し窓口を使う。

・よろず屋的要素が濃い

何度も通って気がついたのだが、
(1)ただ手紙を出すだけだったら、自分で重さを量って送り先を指定すれば、
規定料金のプリントされた切手(というよりシール)が出てくる機械がある。
フランス国内あて郵便で一番よく使う旧3フラン切手
(今は0.45ユーロくらいか)の10枚シートが機械で買える
(2)コピー機がある
(郵便を出す際にコピーを入れる確率は高いので便利)
(3)ファックスがある
(4)当然小銭が必要になる。
困った、お札しか持ってない、と焦らなくても大丈夫、
現金両替機がある!!
逆両替(細かい小銭からちょっと高額の小銭への両替)はできないが、
そのへんは人情の国フランス、
お客さんどうしで融通するのだ。

・小包受け取り専用窓口がある

きっと受け取る人が多いからだろう。
でも長蛇の列に並ばずにすむから便利。

・料金の支払いになんとカルトブルーが使える

カルトブルーとはフランス国内専用クレジットカード。
日本の郵便局と銀行の分離に慣れている身には、
なんとも不思議に見えてしょうがない。
金融に関して進んでいたオランダですら、
郵便局での支払いに使えるカードは
郵便局発行のカードのみだった。

・窓口で郵便局商品をセールスされる

私はよくエコノミー封筒のセールスをされ、
とうとう根負けしてワンセット買ってしまった。

窓口に座る人はいつも決まっているので、
何度か通ううちに相手もこちらも顔を覚えてくる。
言葉がよく分からない日本人がしどろもどろになっていても、
いっしょうけんめい聞いてくれるのはありがたいこと。
小包を送りたいときは「これを送りたい」と物を見せると、
それにあったパッケージを持ってきてくれたりする。

さて、郵便配達も配達地域が決まっていて、
何度か会うと顔を覚えてくれる。
私が一人で歩いているときに
「今日は子供は学校なの?赤ちゃんは?」と
聞かれてびっくりしたことがあった。
小包は日本から送ると大まかに二種類あって、
EMSという書留と通常の航空便など。
EMSの場合はクロノポストという専門の配達員が持ってきてくれ、
必ず手渡しされる。
受け取ったときはサインするが、
我が家に来る配達員の持っているサイン帳は電子式。
液晶画面にサインするのだ!
EMSでないものはサインの必要がないのでそのまま置いていくのだが、
小包だからいくら小さいといえども、
普通のポストの差し入れ口からは入るわけがない。
しかし、いつもなぜかポストに入っているのだ。
一度大きなダンボールで届いたときだけは
たまたま留守だったこともあって「ポストに入らない」と
郵便局預かりになっていたが、
一体他の小包はどうやってポストに入れているのか?
どうやってもポストを開けて入れているとしか考えられない。
うちなんかは万が一取られて困るような郵便物はないが、
郵便局にポストを開ける権限があるのか?
いや、それ以前にうちのポストのカギ持ってんの?
ヒジョーに気になる点である。