週末は何もしない

フランスに来てから一年あまり、
これまで週末は「どこかに出かける日」だった。
週末になるたびに「今日はどこに行こうか?」と頭を悩ませた。
まるで何もしないのが罪のように。

ところが最近は何もしないことが多い。
別にめぼしいところに行き尽くしたわけではない。
むしろ行っていないところの方が圧倒的に多いと思う。
それでも土曜日は重たいものや消耗品の買出しをさっさと終わらせ、
日曜日は家で一日過ごすことが多くなった。

理由はいろいろある。
まず日が長くなってきたこと、
暖かくなってきて庭の手入れに身を入れ出したこと、
庭で食事をするのに絶好の季節になってきたこと、
そして、週末は一週間の疲れを癒すべく、
ぐたぐたするのが合っていることに気がついたから
である。
特にフランスでは日曜はほとんどの店は閉まってしまうので、
ろくなことができない。
せいぜい開いているのはほんのちょっとのスーパーと、
郊外の大型店(家具屋さんとか園芸用品屋さんなど)くらい。
となると、どうしても関心は家の中に向いてくる。

お子様たちが庭を駆け回っているのを見ながら、
芝刈りをしたり、花の種をまいたり、水をあげたり。
お昼にはバーベキューをして、
終わったあともお茶を用意して、ずっと本を読んだりできる。
うちの周りは緑に恵まれているというのもあるけど、
鳥のさえずりを聞きながら、
木もれ日の下でぼーっと座っていると、
ここがパリのすぐ近くであることを忘れそう。
周りの家も同じように過ごしている人が多い。
大体、日曜のお昼は家族で集まって
ゆっくり食事するのがフランス流らしい。

もっと広いところで子供を遊ばせたければ、
すぐ近所にマルメゾンの広い庭園があるし、
少し車を走らせるだけで迷うほどたくさんの公園がある。
どこもみんな芝生が敷きつめられ、木もたくさん植わっている。
のんびり過ごすにはうってつけの場所なのだ。

パリで雑踏を歩きまわるのも楽しいけれど、
私はなんだか自然の中でぼーっとしている方が
性にあってる気がする。
こんな生活に慣れてしまうと、
なんだか日本に帰れなくなっちゃうなあとふと思ってしまう。

もっとも冬となると話は別。
比較的太陽は現れるけれど、日の暮れるのは早い。
ずっと家にいると本当に気が滅入る。
それで、寒いけれど外に行きたくなる。
冬は本当なら美術館めぐりの季節。
我が家はお子様がそれをなかなか許してはくれないけれど…。