購入

ダンナは通勤用の車を会社から支給されている。
今まではそれで事足りていたのだが、
子供が4人になると6人乗りの車が必要。
しかし、普通の乗用車は最大でも5人乗り。
日本だったら迷わずワンボックスカーを選ぶところだが、
会社の支給車にはなかった。
買わざるをえない。

何を買うか。
ヨーロッパでは日本ほどワンボックスカーが普及していない。
正確に言えばなくはないのだが、お高いのだそうだ。
支給車はただとはいえ、一応二台目の車。
あまり高いのを買う気はしない。
帰国するまでのつなぎだから、中古車でもいいと思っていた。

しかし我が家も全く当てがなかったわけではない。
6人乗りでワンボックスカーではなく、
そこそこのお値段の車の目星はつけていたのだ。
それがFIATのMultipla。
(「マルチプラ」と発音するのが一般的だと思っていたが、
フランスでは「ミュルティプラ」と発音しないと通じない。
まったくフランス人てヤツは…)
インターネットで最寄の販売店を探したら、
ネットである程度こちらの希望を伝えることができるようなので、
「まさかこのメールで『買います』ってことにはならないだろうな」と
ちょっと不安にかられながらメールを送ってみる。
返事は全く期待していなかった。
とりあえず販売店の場所がわかれば見に行けるからだ。

事態は意外な方向に展開した。
メールを送ってわずか二日後に電話がかかってきたのだ。
フランスにおいて、しかもイタリアの会社なのに、
この迅速な対応は一体どうしたことだ!!
思いのほか好感を持つ。
しかし、ダンナが忙しくて明日もう一回電話してくれと言ったら、
それ以来かかってこなくなる。
そこで、見学がてらその週末に販売店に行ってみた。

当の販売店で「メールを送ったら電話がかかってきたんだけど」と聞いてみるが、
思い当たりがないと言う。
近くにもう一軒販売店があるから、
そっちへ行ってみるように言われる。
そちらはもっともっと大きな販売店だった。
そこで聞いたら、そこの人が電話をくれたことが分かる。
さっそく展示車見学。
Multiplaが2台飾ってあった。
一台は2001年モデル、もう一台は最新モデル。
とは言われたが、説明されるまで差異が分からず。
それでも2001年モデルの方がずっと安い。
ただし、どうやら展示車現品が来るようだ。
もともと中古を買うつもりだったんだし、これでいいじゃない?ということになる。
ものすごい速さで買うことが決まる。

問題は出てきた担当者。
英語はベリーベリーバッドと謙遜していたが、
その謙遜はウソじゃないぞというくらい、本当にひどい。
こちらも英語とつたないフランス語でお互いどこまで理解できているのか…?
決して安い買い物ではない車の購入でこんなことでいいのか?

支払いを分割にしたい旨を伝える。
そして車本体の支払いに加え、保険の支払いも一緒に分割にできるという。
へえ~、自動車保険を車本体とあわせて分割払いできるのねーと思う。
これがあとで思わぬ落とし穴となるのだ…。
分割払いの申し込みは会社の承認がいるので、
ダンナが後日申し込みをすることにして、とりあえず車をおさえた。
納車は10日後だという。

その後もう一度車を見せてもらう。
特に求めるオプションはなかったのだが、
カセットテープレコーダーをCDプレーヤーに替えたいと言ったら、
納車時に代金を払えばOKということでお願いする。