移動サーカス

近所の駐車場にある日突然テントが建った。
サーカスがやってきたのだ。
テントを囲んでぐるりと大きなトラックがとまり、
馬やラクダが何頭もいる。
ちょうど学校がToussaint(トゥッサン・万聖節)をはさんで秋休みなので、
見に行ってみた。

外からは見えなかったが、なんとライオンもいる。
ちょっとサーカスらしくなってきた。
入場料は大人100フラン、子供50フラン、2歳以下は無料。
しかしよく見るとプレミエ席があって、それだと大人120フラン、子供60フラン。
そういうのに弱い我が家は高い席を購入。
テントの入り口で愛想の悪いおばちゃんがもぎり。
案内された席は平土間の席。
中央の檻にかぶりつきだ。
しかしゆりちゃんは後方の階段席のほうがよいと言う。
そっちの方が高くなっているので子供には見やすいのだろう。
でもそこは一般席…高い席買うんじゃなかった。

ほぼ満席、といっても100人くらいか。
派手なアナウンスのあと、ライオンが入ってくる。
メスばかり3頭。



さっきはオスライオンも見かけたが、いつ出てくるのだろう?
と思っているうちに終わり。
オスはただの飾りだったのか。
そして檻も分解して片付ける。
猛獣が出てくるときだけのものだったらしい。
片付ける様子がドリフを連想させておもしろい。
BGMまでなんだか似てる。



それからフラフープ回し、携帯綱渡り、一輪車、ピエロのトークなど、
お決まりの出し物が続く。


綱渡り。写真では分かりにくいですが、
平均台の上に綱を張ったような代物。
長さも高さも平均台に毛の生えた程度。

馬が掛け声にあわせて右回りや左回りなどするのは許せるが、
山羊からラクダまでおよそ芸をしそうにない動物を小さい順に並ばせて
ステージを一周させるのは、これは出し物とは言えないのでは?


あまりに都合よく同じ模様の色違い。
染めたのではと疑惑が残る馬。

団員の女の子が福引券を売りに来る。
福引券といってもただの引換券。
持っていくと好きな物と換えてくれるだけ。
でも子供は欲しがるので買ってやる。
一枚10フランもする。
出店で売ればいいのにわざわざ福引券にするところが
子供の心理を突いている。
しかしこの女の子、愛想がない。
客商売なんだからもっと愛想よくしなきゃ。

中ではおもしろかったと思えるのが火のついたたいまつのジャグリング。
落とさず上手に投げていた。
横では先ほどの福引券売りの女の子が
腰をふりふり妖艶に踊っている。



しかし私は気になった。
この子、学校はどうしてるの?
今は休み中だけど、休みが終わったら学校に行ってるの?
メンバーにはこの子の他、どう見ても学齢期だと思われる子が
もう一人いた。
飼っている動物の維持費を考えたら、
とても片手間に趣味でサーカスをしているとは思えない。
いかにも家族経営っぽいし、
これで食べているんだよね?
小学校1、2年生くらいの子が
もうこんな妖艶な踊りをして
この先どうするんだろう?
やっぱりこのサーカスを継いでいくのかな?
若い女性や男性もメンバーにいたけど、
このサーカスだけしか知らないで育ってきたのだろうか?
彼女もやがてそうなっていくのだろうか?

後でダンナにその話をしたら、
「学校なんか行ってないよ。ジプシーと一緒じゃない?」
学校に行かないで放浪して暮らしている子供がこんなに身近にいる。