パリ航空ショー

とある日の夜、コンコルド広場を通りかかったら、
どかーんと戦闘機が置いてあった。
観覧車がしゃらしゃら回っている今のコンコルド広場には
どう見てもそぐわないシロモノ。
興味津々の我が家は車をとめて写真に収めてみた。



後日それがパリ航空ショーのためのパフォーマンスだと発覚。
パリ航空ショーとは名前は聞いたことがあるものの、
どんなものなのかさっぱり想像もつかなければあまり興味もない。
しかし2年に一回しか開催されないと聞くと、
今行かなきゃ次は2003年、という強迫観念に襲われ、
いまいち乗り気でないダンナを尻目にせっせとインターネットで情報収集。
(ロンドンと隔年開催なのだそうだ)

開催は6月16~24日。うち一般公開は17,23,24日の3日間のみ。
このショー期間中に世界中の飛行機関係者が商談をするのだそうだ。
このショーが世界の飛行機ファンから注目を集めていること、
日本からこのショーのためだけに組まれているツアーがいくつもあることに驚いた。

17日は朝から晴れていたかと思うと突然大雨が降る不安定な天気。
昼頃まで行こうかどうしようか迷っていたのだが、
ようやく強い日差しが現れたので行く決意をする。

会場は一応パリ市内になるのか?LE BOURGET(る ぶーるじゅ)空港。
駐車場はだだっ広い野っぱら(これはもしや退避地域では…?)。
あまりに会場から離れているので、
会場入り口までおサルの電車のようなトラムが無料運行されている。
着いて車から降りようと思ったらまたもや土砂降り。
このまま止まないのではと不安になったが、どうにか小降りに。
空では航空ショーにはつきもののアクロバット飛行。
プロペラ機がくるくると回っている。
すっかりくぎづけになる大人と子供(つまり全員だ)。
トラムがやってきたので乗り込む。

入場料は大人55フラン。うちの子供たちは無料だった。
レストランはもちろん、救急室、託児所まである。
救急車も出動態勢で待っている。
ここでは必需品なのだ。
会場内にはそこかしこにアイスクリーム、ワッフル、サンドイッチを売る屋台。
ここはディズニーランドか?

入ってすぐは世界の飛行機関連のメーカーの一大展示場。
部品がたくさん並んでいる。
これは東京モーターショーの飛行機版だ!!
しかし私はさっぱり興味がない。
やはり出来上がっている飛行機のほうが見ていて楽しい。

展示場を抜けて、なるべくアクロバット会場に近づきたい。
どこまで行けば見えるのか?
歩いている間も次々にいろいろな飛行機の披露。
機種はさっぱりわからないけれど、
戦闘機になると爆音がすごい。
エンジンの噴射口がこちらを向いたときの音は、
耳をつんざくほどの大轟音。
らんちゃんもびびっていた。

↓わかりにくいが飛行機雲がアクロバットを物語る


どこまでも二階建ての建物がえんえんと並んでいて、
それが邪魔でアクロバットの滑走路が見えない!
その内気がついた。
「この建物は関係企業の商談の場なのだ」と…。
どのブースも中にレストラン施設完備。
パティオのような庭にはパラソルつきのテーブル。
「飛行機を買う」と言えば、ここで食事できるのか…。
関係者だと私が行きたかったアクロバット会場近くまでも
行けるらしい。
しかし関係者のバッヂがないと入れない。
全ては関係者のためにできている。
一般公開はほんのおまけでしかないようだ。
「見せてやっている」空気をひしひしと感じる。

飛行機がたくさん並ぶ本体の展示スペースに来る。
なんとロケットまである。



一応このショーの名称はパリ航空「宇宙」ショーになっているので、
宇宙に関するものもあるのだ。
心なしか戦闘機が多いような気がしたが、
ドラクロアの「民衆を率いる自由の女神」が日本に来たときと同じ
特殊な飛行機もあった。これ↓
大きな絵を分割しないで運べるようになっている。



これは一般の人も中を見ることができたが、
たいていは外から眺めるだけ。
のはずなのに、戦闘機のコックピットに
乗せてもらっている人もいるのだ!!
若いカップルや子供だ。
これも関係者なのね…。
別に乗りたいとは思わなかったが、
いいのか、こんなえこひいき。

ずっと歩けば見晴らしのよい芝生もあったが、
そこまで行くのは大変なので、
飛行機の展示スペースに座り込んでアクロバット鑑賞。
他の人もそれがいいと思ったのか真似し始める。

一通りアクロバットが終わったので、帰ることにした。
みんな同じことを思ったらしく、いっせいに帰路につく。
しかしまだまだ人でごった返している。
アクロバットが終わったから帰るのはどうやら邪道らしい。

帰りもまた例のトラムに乗って駐車場まで。
乗ったとたんに雨が降ってくる。
会場にいた間は晴天に恵まれたので、
ラッキーと言うほかない。
途中駐車場内の芝生に座ってアクロバット鑑賞する人多々。
あそこだと入場料がかからないし(駐車場代の50フランはかかる)、
見晴らしも抜群で賢い選択だと思った。
トラムはうちが停めていた目の前に止まってくれてラッキー。
さあ帰るぞ。

ところが駐車場を出たいのにちっとも動かない。
みんないっせいに帰ろうとしているのでつまっているのだろうが、
これは尋常ではない。
おかげで車内でゆっくり雑誌が読めてしまった。
のろのろと走り始めた車の列は5車線あったはずなのに、
あるところまで行ったら2車線になった。
さらに駐車場の門を出るところは1車線になる。
これでは動かないわけだ。
どこまでも警官の道路規制が敷かれており、
曲がりたいところでも曲がれず、
やっとこさ自由に走れるところに出た。